介護予防リフレクソロジー 〜予防から看取りまで〜
受講された皆さんが、お金や名声が欲しいと思っているわけではなく、患者様や利用者様のことだけを考えていることは、学ばれている姿勢から伝わってきます。その気持ちのこもった手で触られているのですから、患者様や利用者様が癒されていることは間違いありません。
症状の改善に期待できるリフレクソロジーのテクニックと精油の効果
リフレクソロジーもアロマセラピーも、病気や障害を持つ方たちに有益な方法だと言えます。リフレクソロジーの特徴的効果は、内臓を動かすこと、血流の促進と言えるでしょう。アロマセラピーは各精油が様々な効果を持っているため、適切に精油を選択することで、リラックス効果はもとより、症状の改善が期待できると言われています。
リフレクソロジーのテクニックと精油の効果で、より良い結果を残せると考えています。
私は障害者センターで活動を開始したときから、精油を用いてリフレクソロジーや背中、腹部、手部などへのトリートメントを提供し、施設やご家族から良い評価をいただいてきました。
高齢者施設でも、利用者様やご家族からも、香りの効果や、精油成分の違いが、効果の違いにつながることを実感していただいてきました。
家族の絆を確認できる瞬間
家族にとってもトリートメントは救いになると思います。私は姉を病気で亡くしていますが、姉の看病をしていた時にはすでにこの仕事に就いていましたので、足湯をさせ、そのあとにリフレクソロジーやハンドトリートメントをしていました。とても喜んでいて、見舞ってくれた友人に「お姫様気分よ、香世子はマッサージが上手なのよ。」と言ってくれていました。家族はただ病気の進行を、悲しい気持ちで見ているしかできない中、私は姉と触れ合うことができ、その悲しさと、何もしてあげられなかったという後悔を少しだけ減らすことができました。
セラピストとして自分がトリートメントすることがすべてだとは思わず、トリートメント方法をご家族に伝え、家族の絆を確認できる瞬間を提供することも大切な仕事だと思います。伝えるためには、やはり訓練と実績を積み上げていく必要があるでしょう。
トリートメントを通して伝わる気持ち
人の手は色々な感情を伝える道具だと思います。障害をもつ方を応援する気持ちや、高齢者が歩んできた人生に敬意を払う気持ちはトリートメントを通して伝わると思います。
痛みに対しての反応は、愛する人が手をつないでくれていると、一人で痛みを耐えているときよりも薄らぐそうです。「手をさするだけ」なのではなく、手をさする行為は痛みを軽減できる、とても有意義な行為なのです。
学生の頃、友人のお姉様の生理痛が強く、生理の数日間は腹痛で動くことができなかったのですが、今のご主人様がベッドの横でずっと手を握っていたという話を聞き、友人と「なんでしょうねぇ。手を握ったって痛みが減るわけじゃないのにね。」などと、この事実を知らなかった当時は冷やかしながら話をしていましたが、まさにこれは痛みの軽減になっていたのですね。
私たちが手を当てさせていただくことで、患者様や利用者様の不安感や痛みは一時的にでも軽減させることが可能と言えます。看取りに入られた患者様や利用者様にとっても、トリートメントが有効に作用することは確実です。
目的に添うトリートメントを行うために
あるテレビ番組で、認知症の患者に朝にローズマリーとレモンのブレンドを用いて覚醒、夜はラベンダーとオレンジのブレンドで鎮静をすると、認知症の改善効果があると放映され、業界からこの4種類の精油が無くなってしまいました。精油だけではなく、小分けするガラスの小瓶まで無くなってしまったのには驚きました。それだけ、認知症患者をご家族に持っている方が多く、またご苦労も多いということだと思います。
他の覚醒効果や鎮静効果がある精油でも、同様な結果をもたらすことは可能だと思います。夜鎮静する精油を使用することで、睡眠の改善や、精神的に落ち着くことで介護者の負担も減るのではないかと思います。香りをかぐことだけでも有効なのであれば、足部や手部のトリートメントに精油をブレンドしたクリームやオイルを使用することで、香りの効果と手を当てる効果で更なる効果が期待でき、より大きな結果を残せるでしょう。
トリートメントには常に目的があると思います。目的に添うトリートメントを行うためには適切な部位に、適切な精油を用い、適切なテクニックを提供する必要があります。看護や介護者がリフレクソロジーやハンドトリートメントの技術や、精油の正しい知識と適切な使い方を学んでいなければ、目的を達成することは難しいでしょう。
この技術と知識を習得し、経験を重ねていくことで、看護師さんや介護士さんが多くの施設や病院で、活躍できるように願っています。
皆様こんにちは。
大阪医科大学 一般・消化器外科の田中慶太朗です。
JRECでは足底の反射をホリスティックセラピーとして体系化してきました。キャロル・ギルビーJREC会長のもとでJREC理事である川口香世子先生らが作成されたテキストは、広範な内容について解説されており、非常に充実しています。莫大な情報量であり、マスターするには大変な労力が必要ですが、どうぞその内容を信じてひとつひとつの課題をコツコツと積み上げライセンスを取得してください。そして単に紙切れとしてのライセンスを取得することを目的とするのではなく、ホリスティックな立場からリフレクソロジーを考えるプロとしての自分に出会って下さい。さらに、ライセンス取得後もリフレクソロジーを通じた社会貢献への応用について考えていただければ、と思います。
近い将来、皆様の知識と技術が、変貌を遂げてきた医療現場でも発揮され、さらなる医学の進歩につながることを切に期待しています。
皆様と一緒にリフレクソロジーを通じて癒しを追及すると共に、社会貢献にもつながる医療介護への導入について考えていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
「田中 慶太朗先生より推薦の声」詳細
JRECが認定している医療や介護・福祉の国家資格取得者(医師/鍼灸指圧マッサージ師/柔道整復師/助産師/看護師/介護福祉士/理学療法士/作業療法士/社会福祉士)対象のサポートケア・リフレクソロジストライセンスについて、田中 慶太朗先生による寄稿文をご紹介します。
静かに流れる波打ち際の音色と心地よいリラックスサウンド。ほのかに香るアロマブレンド。うす暗くも快い柔らかな光。日常の雑踏から切り離された安堵感。ネクタイをはずしコットンシャツに着替えた解放感。これらは私が初めてリフレクソロジーサロンを訪れたときの印象です。
施術者との接点は指と足底のみですが、反射区から伝わる温もりと全身への刺激は、自分の身体の奥に眠っていた活力を呼び覚ますものでした。一人のクライアントとして、80分の短い時間でしたが、十分に心と身体を癒してもらうことができました。医師という仕事柄、このような身体の反応に非常に興味をもちました。
疲れてはいても、病人ではない私にとってこんなに効果があるリフレクソロジーですから、病気で苦しむ患者さんにもきっと効果があるに間違いありません。このように確信した私は、機会があれば患者さんの病気に関連する反射区にトリートメントを加えながら回診するようになりました。リフレクソロジーのおかげで患者さんとの距離が縮まり、普段なら言葉にされないような悩みや苦しみも表現してもらえるようになったと実感しています。
以上は私の体験談ですが、これは正にJRECが実践してきたホリスティックな代替療法の一例に思えます。つまり、「心も身体もひとつにつながっている」のです。
医療の現場では心の病、身体の病を持った患者さんの治療や介護を目標としています。西洋医学、東洋医学など様々な医療や福祉の現場で、その道の専門家が各領域の治療や介護に専念します。しかし、それだけでは十分でなく、もう一歩踏み込んで何か患者さんに役立つ方法はないものかと思慮することも医療関係者の方々は日常的に経験されていると思います。
JRECでは、医療や介護・福祉の国家資格取得者を対象に『サポートケア・リフレクソロジストライセンス』の認定をおこなっています。
サロンではなく、実際の医療現場での患者さんに対するリフレクソロジーに関して多くの経験を積まれた川口香世子理事が監修された講座の内容は、医療や介護の現場ですぐに実践できる手技を効率良く、また理論的に修得できるものです。これらの技術や知識は各分野の医療従事者の方々の専門知識とうまく融合して、一層効果的に治療や介護の成果をもたらすでしょう。
これまで様々な医療や介護の現場で働かれてきた皆様が、サポートケア・リフレクソロジーをマスターされることによって、患者さんやご利用者の方々に身体的な癒しを提供できる技術を身につけられるとともに、ヒトとヒトとの心のつながりを実感されることを期待します。
私は肢体不自由児通園施設(現医療型発達支援センター)で看護師として仕事をしています。ここへは心身に様々な障がいを持つ就学前の子どもたちが保護者(主に母親)と通い、訓練(理学療法や作業療法など)や保育を受けています。
通園している子どもたちは、手足がとても冷たく、硬くむくみ、便秘や睡眠障害、麻痺や筋緊張による身体の硬さやゆがみ、排痰の難しさなど様々なつらい症状を持っています。私は看護師として症状の観察や吸引、母親へのアドバイスは行えても、子どもたちの症状が和らぐような何かをできる事は少なく、もう少し積極的に心身にアプローチできる方法はないかといつも思っていました。
リフレクソロジー(レギュラー)の資格をとり施術をすると冷たくカチカチに硬かった足の裏が、回数を重ねていくうちにふわふわとやわらかく変化していくのが解りました。触られることに敏感で足を引っ込めていた子が、私の顔を見ると寄って来て足を出してくれるようになり、リフレクソロジーはこの子にとって「気持ちがいいことになっているんだ。」と感じることができました。ただ、足の施術を行っても筋の緊張が強く下肢に痛みを訴える子や、咳を上手くすることができずに胸の奥でゴロゴロと痰が溜まっている子に対しては、月に1〜2回のリフレクソロジーではすぐに反応を引き出すことができないと、感じました。
サポートケア・リフレクソロジーの資格取得後は、足の施術に固執せずに子どもの様子を診て、精油も使用しながら、痰が溜まっているなら排痰できるように背中や首や胸をトリートメントしたり、療育中遊びながらでも上肢や下肢をさすったり、回したり、自分の中で選択肢が広がったように思います。
私は、現在介護施設で働いています。きっかけは祖父が脳梗塞で倒れてから、「自分にできることはないか」と考えたからです。介護の仕事をしてみて一番驚いたのは、高齢者は年齢を重ねるごとに色々な病状を持っていて多種の薬を内服してい
る事です。その人の症状、その時の状態により介護の方法が変わってくることを知りました。
その後、介護福祉士を取得しましたが、次の課題として「高齢者も含め、みんなが癒されることはないか」と考え、「もっと身
体について知りたい!癒してあげたい!」という気持ちが高まり、リフレクソロジー(レギュラー)の学習がスタートしました。
だんだん身体の仕組み、栄養の働きを理解できるようになり、実際に身体の構造や流れが想像できるようになると、今までとはリフレクソロジーの見方も変わりとても嬉しくなり、改めて「人の身体は凄い」と実感しました。また、カウンセリングの学習からは、緊急の対応時のため、その人の病名や症状、どんな薬を処方されているか、また、かかりつけ医はどこか、まで知っておく必要があることも知りました。
トリートメントは、介護と同じように誰にでも同じような対応ができるわけではなく、禁忌もあります。高齢者は多種の薬が処方されていて、降圧剤、下剤、抗血栓薬はよく処方されています。健常者に比べ禁忌や薬の副作用もあるので、特に注意が必要ですが、高齢者に対して怖く避けるのではなく、知識があり、トリートメントできることを自分の強さに変えたいという想いから、JREC認定サポートケア・リフレクソロジストライセンス対応、介護予防リフレクソロジー講座も受講しました。
現在は、アセスメントを再確認し情報を把握した上で、月に2回、入居者様に足と手のトリートメントをしています。始めた頃は不安な表情をされた方もいましたが、今では「今度いつやってくれるの?」「やって!やって!」という声が多く聞かれるようになってきました。
これからも初心を忘れず自分の知識を高めていき、『想い』のある介護、リフレクソロジーをしていきたいと思います。
「サポートケア・リフレクソロジストライセンスとは」詳細
医療や介護・福祉の現場(または同義の環境)において、医師本人または医師の指導・監督のもと、JRECが定めるサポートケア・リフレクソロジー(専用のベッドを使用しないリフレクソロジーおよび身体の各部分へのトリートメント)を行う技能を有することを認定されるライセンスです。
(JRECの開業ライセンスではありません)
日本リフレクソロジスト認定機構(以下JREC)では、手と指による足底への刺激を身体の各部に反射させ、身体の恒常性を保たせようとする考え方をもとにしたリフレクソロジートリートメントに加え、身体の仕組みと栄養素の働きの正しい知識により、健康的な生活を維持するための的確なアドバイスをすることが、JREC認定リフレクソロジストの使命と考えます。JRECでは、技術や知識の段階に応じて、ライセンス認定を行っています。
※JRECが提唱するリフレクソロジーは、西洋式のリフレクソロジーです。
リフレクソロジストはホリスティック(全体的)に人を見つめます。心と身体の健康を維持するためには、規則正しい生活や適切な食生活、そして適度なストレス解消が大切です。リフレクソロジーのトリートメントにより、疲れや緊張を解きほぐし、心地良さを実現するだけではなく、健康を維持するためのさまざまな知識による適切なアドバイスが求められます。そのためには、トリートメント技術ばかりではなく、身体の仕組みや栄養素の働きについての最低限の知識は必須です。また日々更新される健康情報にも関心を持ち、学習する姿勢が必要でしょう。もちろん、クライアントに接するプロとしてマナーは当然のことながら、そのアドバイスには、相手を安心させ、明るい気持ちになっていただくカウンセリング技能も求められます。
病気にかかってから病院へ通う、大きな病気に高額な医療費を払うという時代は過ぎ、これからは健康な心身を維持するためにリフレクソロジーサロンを利用し、リフレクソロジストをアシスタントに、より積極的にご自身の心と身体の健康に努力をする方が増えていくことでしょう。
JRECでは、日本国内でのリフレクソロジーの普及と発展、またそれを担うリフレクソロジストの地位向上とさらなる活躍の場を図ることを目的に、1999年8月に発足しました。プロとして必要な知識と技術を修得した方にライセンス認定試験を実施し、合格登録後のリフレクソロジストの育成、活動支援を行っています。また、ホリスティックセラピーの観点から、自然療法、各種セラピーの活用も提唱し、それらの学習機会を提供しています。
近年、さまざまなリラクセーションが普及する中、自然療法としても注目されているリフレクソロジーは、健康維持増進、ストレス解消という効果とともに、人と人とのコミュニケーション、心のつながりとしても大きな役割を果たしてくれるセラピーとして、医療や介護・福祉の現場において活用される機会が非常に増えてきました。医療や介護・福祉の現場で活動される多くの方が積極的にリフレクソロジーのスキルを学んでいます。
中でも、JRECのリフレクソロジースキルが多くの医療や介護・福祉の現場で活用されています。その理由は、クライアントの身体に合わせたトリートメント(施術)にあります。トリートメントには常に目的があり、目的に添うトリートメントを行うためには適切な部位に、適切なテクニックを提供する必要があります。JRECでは、この考え方をもとにリフレクソロジートリートメントに加え、身体の仕組みと栄養素の働きの正しい知識により、健康的な生活を維持するためのアドバイスを行うことで、本来のリフレクソロジーの力を発揮しています。リフレクソロジーの活躍の場は、医療や介護・福祉といった分野へと、着実に広がりをみせております。
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